職員あいさつ

職員あいさつ

冬は必ず春となる


 

皆さんお元気ですか?新型コロナウィルス流行拡大防止対策として、佐原小学校も3月2日から臨時休業となりました。教室、運動場、廊下…子どもたちの笑い声や元気な姿が突然見られなくなり、とても寂しいです。私たちの仕事は、大好きな子どもたちがいればこそ。日頃当たり前だったことが、実はとても幸せで尊いことだと、改めて感じました。

6年生の皆さん、普段の生活や行事、委員会、クラブ活動や部活動など、さまざまな場面で活躍していた姿は在校生の憧れでした。佐原小学校のために力を尽くしてくれてありがとうございました。在校生の皆さん、6年生との楽しかった思い出を忘れず、素敵な6年生に少しでも近づいて恩返しができるよう、ともに力を合わせて頑張りましょう。

 いつもなら皆さんが元気いっぱい駆け回っている運動場が、今はがらんとしています。そのような中、新しい命が芽吹いています。1年生が生活科で植えた球根が可愛い花を咲かせています。もう春はそこまできているのですね。自然の力の逞しさを実感します。冬は必ず春となります。突然のお別れという今回の寂しさや悲しさ、辛さを、一緒に分かち合いながら、それでも前を向いて歩いていきたいです。みんなで支え合いながら乗り越えていきたいと思います。

 

自分らしさ


 

 私は、水田の広がる農村地帯で育ちました。そのため、一家の年長者である祖母の考えには、色濃く家長制度の名残があり、何をするにも男が先という感じでした。「女の子のくせに」「お姉ちゃんのくせに」と何度も言われ、幼心にも「何かおかしい」と思うことが多くありました。

 最近は、男女平等、男女共同参画という言葉が当たり前になっています。職業についても、「保母が保育士」に、「看護婦が看護師」になるなど、職業の名称が変わりました。呼び名が変わることで、以前は「これは女性の職業だ、男性向けの職業だ」というイメージが付いていた職業にも、男性も女性も進出しやすくなりました。また、家事の分担をしている家庭も増え、「お父さんが〇〇を作ってくれた。」という会話が子どもたちの中からも聞こえてきます。「男子厨房に入らず」など過去の言葉になっています。

 学校の中を見渡しても、男女で色分けすることもなくなり、名簿も男女混合になりました。昔は二色だったランドセルの色もカラフルになり、自分の好きな色を選ぶことができます。子どもたちの呼名も「~さん」に統一されています。私が感動したのは、入学式の校長先生の式辞の言葉の中で「お兄さん、お姉さん」という順番だったものが「お姉さん、お兄さん」に変わったことでした。

こういう環境の中で育っていく子どもたちは「男らしさ、女らしさ」ではなく、その人の個性や能力を生かしたさまざまな生き方が益々できるようになるでしょう。そして、もっともっと個性を発揮し、自分らしく生きることが当たり前の社会になっているはずです。そのためにも私たち大人が、子どもたちが憧れるような素敵な大人となり、自分らしく輝いていなければと思います。

バスケットボール


 

「千葉ジェッツふなばし」というバスケットボールチームをご存じですか。Bリーグで熱戦を繰り広げている、船橋市に拠点を置くバスケットボールチームです。

この千葉ジェッツふなばしの“ジェッツ”という言葉には「成田国際空港があり、日本の国際窓口である千葉県。その象徴とも言えるジェット機に、子供たちの夢、千葉県民の希望をのせて日本のみならず、世界に飛び立てるクラブを目指す。」という想いが込められているそうです。“子供たちに夢を”ということで、昨年千葉ジェッツふなばしに所属する富樫勇樹選手が日本人初の1億円プレイヤーとなりました。これまであまり脚光を浴びてこなかったプロバスケットボール界に、日本中の注目を集めるニュースとなりました。さらに、NBAでの八村塁選手の活躍やワールドカップの出場など、バスケットボールに関する話題も増えてきています。

近い将来、子どもたちの抱く夢の選択肢に、野球選手やサッカー選手と並んで「バスケットボール選手」が上がってくることを想像すると、なんだかわくわくします。佐原小学校のミニバスケットボール部も、仲間と切磋琢磨しながら技術を磨いていますので、今後の活躍が楽しみです。

マイナスをプラスに!


 

 2月17日は何の日か調べているとき、「天使の囁き記念日」があることを知りました。「天使の囁き」とは、-20℃以下になると空気中の水蒸気が凍ってできる氷の結晶「ダイヤモンドダスト」のことです。北海道幌加内町の「天使の囁き実行委員会」が1994年に制定しました。雪や寒さのもつマイナスイメージをプラスに変え、雪の神秘を感じ、北国の生活の楽しさや素晴らしさを体験してもらおうと、この日にダイヤモンドダストの観察など厳冬の一夜を体験する「天使の囁きを聴く集い」を実施しているそうです。

 私は、「マイナスイメージをプラスに変える」という発想が素敵だと思いました。脳はプラスの言葉を聞くと活性化され、それがやる気、元気、幸福感などにつながるそうです。プラスの見方でイライラの種を減らしていきたいものです。

 マイナスをプラスに変えると・・・

・ぐずぐずしているね  慎重にていねいに取り組もうとしているね

・落ち着きがないなあ  やりたいことがたくさんあって、エネルギッシュだね

・あわてんぼうだよね  すぐに行動できるね

・ずうずうしいなあ   自分の考えを通せる勇気があるね

・調子にのるよね    ノリがよくてまわりを明るくしてくれるね

 プラスの言葉を習慣にしましょう!

笑顔で過ごせていますか?


 

終末期医療に携わるホスピス医の小澤竹俊先生の著書の中に、いのちの大切さを教える中でいちばん重要なのは「自分が大切な人間である」と思えることと書かれています。「自分が大切な人間である」と思うことを「自己肯定感」といいますが、自己肯定感には、「very good」、自分のことをとてもよいと思えるかどうかと、「good enough」、自分はこれでよいという2つの考え方があるそうです。

思春期は、なかなか自分を好きになれないが、自己を見つめる大事な時期です。「これでよい」という部分とともに、「これでいいのだろうか」という問いかけも常に持ちつつ思索の時期を過ごすのはとても有益なことと小澤先生はおっしゃっています。

 

昨年12月に6年生を対象に開催した思春期講演会では、助産師の先生から、人には生まれながらにして、“いのちの力”(自分で決断する力、チャレンジする力、自分を守る力、感じる力)があり、思春期は“いのちの力”を大きく育てる大切な時期だと教えていただきました。

「生まれてきたこと、今生きていることが100点満点」と、子どもたちに語りかけてくださいました。

 

新しいいのちの誕生を迎える助産師の先生、いのちの終わりと向き合うホスピス医の先生、どちらも「ありのままの自分でよい」と、子どもたちへメッセージを送ってくださっていると思いました。今の自分が好きになれずに笑顔が消えてしまっている子がいたなら、「今のままのあなたでいいんだよ」と励ましてあげたいと思います。

     小澤竹俊(2007)「いのちはなぜ大切か」 筑摩書房