職員あいさつ

2018年1月の記事一覧

違いをうけいれるということ

 青年海外協力隊として生活していたセネガルから帰国して10か月が経とうとしています。セネガルの気候や日常に慣れるのには数か月かかったのに、日本の生活に戻るのは一瞬でした。やはり自分は日本人なのだと日々実感しています。しかし、セネガルに行く前と後とでは全く同じ感覚かと言われるとそうではなく、違う視点で日本や子どもたちを見つめているような気がします。

ここ数年の間に、街中で外国の方を見かけることは日常となり、飲食店や小売店では流暢な日本語でてきぱきと仕事をこなす外国の方の姿はもはや珍しくない世の中になりました。佐原の街でも、近い将来、労働者として働く外国の方が多く住むようになると思います。今、佐原小学校で学ぶ子どもたちが大人になったとき、言語も文化も宗教も違う人たちとの違いを受け入れながら、共生していかなければなりません。

では、「違いを受け入れる」とはどういうことなのでしょうか。先日、日本人に招かれた食事会で、知らずに豚肉の入った料理を食べてしまったイスラム教徒の方の悲しみが報道されていました。私たちにとって、善であることが、必ずしも相手に当てはまるとは限らないのです。

私自身、セネガルでたくさんその感覚の違いに苦しみました。例えば、物をあれこれ「ちょうだい」と言われることです。始めはすごく嫌な気分になりました。しかし、よく話をしてみると、私が日本人だから要求するのではなく、セネガルでは、持っている人が持っていない人に物を与えることは当たり前のことだからだということがわかりました。それがセネガルの文化だったのです。日本では、簡単に人に物を要求するのはよくないことと教えられていると言うと、理解してくれました。

相手にとっての「普通」と自分にとっての「普通」が違うことを知り、理解し合うことが「違いを受け入れる」ということなのだと肌で感じました。そしてそのためには、やはり言葉で伝え合うことが一番であり、最大の武器なのではないでしょうか。その武器を、現代の子どもたちが身に付けていくことこそが必要不可欠であると思います。

外国語活動が施行されて早いもので7年が経ちます。そして、来年度から外国語は教科となり、34年生にも外国語活動が必修となります。子どもたちには、最大の武器である言語の力を強化して、知らないことを知ること、知らないことをひとつでも多く知ろうとする大人に育っていってほしいと思います。また、自分自身もそんな大人でありたいです。