校長日誌

全校児童がそろって活動できる喜び

 国や県の方針を受け、今年度末は久しぶりに全校児童がそろって教育活動ができるようになりました。

 

 2月28日(火)には、卒業を控えた6年生に向けて「6年生を送る会(ありがとうセレモニー)」を行いました。体育館に全校児童が集まり、6年生一人一人の個性あふれる紹介、思い出の映像や元担任からのビデオレター、感謝のメッセージや歌声、手作りのプレゼントなど、1~5年生が感謝の気持ちを届けました。また、最高学年のバトンが5年生に引き継がれるなど、新年度に向けて全校児童の心の絆が深まる素晴らしい機会となりました。

 3月9日(木)には、「第149回創立記念式典」を行いました。来賓の方々をお招きし、全校児童がそろって学校の誕生日をお祝いしました。4年ぶりに大勢で校歌や中央小のみんなの歌「あしたに夢を」を歌い、地域の同窓会からは美味しい紅白のおまんじゅうをいただきました。また、式典後にはプロの演奏家による芸術鑑賞会を行い、楽しい打楽器の演奏に児童は大盛り上がりでした。

 3月17日(金)には、卒業証書授与式を行いました。卒業生85名はマスクを外し、一人一人が素敵な笑顔で母校を巣立ちました。来賓・保護者の人数制限もなく、1~5年生も教職員もそろって参加し、卒業生の門出をお祝いしました。全校での校歌斉唱や、卒業生と在校生それぞれからの「お別れの言葉」や「お別れの歌」は、とても圧巻で感動的でした。多くの児童が初めて参加した卒業式でしたが、厳粛で張り詰めた学校行事を経験し、日常の学校生活では味わえない新鮮で清々しい雰囲気を体感しました。

 

 全校が参加する行事の開催は、学校に活気を呼び戻しています。そして、コロナ禍でこれまでストップせざるを得なかった「大勢が一堂に会すること」や「地域の大人が期待や希望を児童に伝えること」が、児童の心の成長に大きな効果をもたらすことを改めて感じ、学校行事の教育的意義を再確認しました。

 ここ数年の行動制限で、児童は様々な体験が不足しています。そのなかで、感染対策が少しずつ緩和され、新年度からの教育活動に明るい兆しが見え始めています。児童の視点で自身の学校経営を見つめ直しながら、今後も様々な体験活動を通じて心の教育を進めていきます。

平和を願う「青い目の人形」

 小見川中央小には「青い目の人形」が2体あります。名前は「ドロシー・ヘレン」と「メーイ・ホース」です。1927年(昭和2年)に小見川幼稚園に贈られ、昨年夏から本校で保管しています。

 「青い目の人形」は、アメリカから日本の幼稚園・小学校に贈られたものですが、太平洋戦争中に敵国の人形として、全国で焼却されました。96年前に友好の証として贈られた当時には、全国で約1万2000体の人形があったそうですが、今は約300体のみが残っているそうです。

 先日は、全校児童に「戦争中に、日本中の青い目の人形が壊されたこと」「貴重な人形が、中央小に2つあること」「戦争のことを勉強して、世界中の平和に向けてみんなで努力すること」などを話しました。2月19日には東総文化会館(旭市)で朗読劇がありましたが、その際も本校の2体の人形が展示されました。

 「青い目の人形」は歌が有名ですが、6年生の社会科の教科書にも掲載されています。悲惨な戦争を物語る歴史の資料として、中央小の子どもが目に触れられるようにするなど、これからも本校の宝物として大切にしていきたいと考えています。

 

 1月に体育館の大規模改修に向けて職員作業を行いました。その際に、昭和4年に撮影された『陸上部の写真』が出てきました。香取郡市の陸上大会で優勝した記念写真で、64名の選手と教職員が勢ぞろいした立派な白黒写真です。男子は全員丸坊主で、女子はお揃いのユニフォームで、校旗や優勝旗と一緒に、どの子どももきりりとしたたくましい姿で写っています。

 でも当時は富国強兵の時代。太平洋戦争が始まったのが昭和16年なので、写真を撮影してから約12年後に開戦。当時の子どもたちは20代半ばで戦争の真っ只中を生きていたことになります。もしかすると、頑強な身体の持ち主として真っ先に戦場に送られ、命を落とされた方もいらっしゃるのではないかと思い、心が痛みました。

 

 終戦から80年近くが経ちます。そして、今でも他国で戦争が起きています。悲しい歴史や惨状に触れるたびに、私たちは「教育の力で、子どもたちが将来にわたり、悲しい戦争に二度と巻き込まれないようにしたい」と考えます。

 本校はまもなく創立150周年を迎えますが、過去の歴史を振り返りながら、様々な教育の機会を通して、子どもたちに「命の尊さ」や「平和の大切さ」も学んでほしいと思います。

絵本作家「たかはし まいまい」さんとの出会い

 本校では、令和5年度の創立150周年に向けて、マスコットキャラクターを作成しましたが、これは絵本作家「たかはし まいまい」さんとの出会いがきっかけです。

 昨年8月に、1冊の絵本が学校に贈られてきました。絵本のタイトルは“いろいろ むしむし”。作者は「たかはし まいまい」さん。本校の卒業生で、現在は岡山県にお住まいです。絵本を見ると、自然の中にいる身近な昆虫が、鮮やかな色彩で生き生きと描かれています。夏休み明けに子どもたちへ紹介し、図書委員会の児童がお礼の手紙と写真を送りました。そして、まいまいさんからもお返事や昆虫の絵をいただき、全校児童に紹介しました。

  それから数か月がたち、学校では、次年度の創立150周年に向けたアイディアを考えていました。その中で、子どもや職員から「周年記念のマスコットキャラクターを作成してはどうだろう」という意見があり、私の頭の中でピーンと浮かんできたのが、絵本作家の「たかはし まいまいさん」でした。そして、6月にまいまいさんにメールでご相談し、キャラクターの作成にご協力いただけることになりました。

  それから、キャラクター作りを通した、まいまいさんと学校との交流が始まりました。

<7月> 児童会の子どもたちが、全校にアイディアを募りました。家族と相談したり、学級で話し合ったりして、「中央小の良さや特徴」「どんなキャラクターにしたいか」などを紙に書き出し、岡山県のまいまいさんの元へ送りました。子どもがそれぞれ自由に書いた用紙をたくさん郵送しましたので、まいまいさんにはさぞかしご迷惑をおかけしたかと思います。

 <8月> まいまいさんは、子どもたちからのアイディアをもとに、キャラクターの素案を考えてくださいました。そして、4つの作品を送ってくださいました。当初学校では、その素案から一つを選定し、まいまいさんに再度作成をお願いする予定でした。ところが、素案と言っても、さすがにプロの作品はどれも素晴らしすぎます。児童会の子どもも職員も、選ぶこと自体が難しく戸惑いを感じ、「4つともお願いできませんか」とわがままなお願いをしてみることにしました。すると、まいまいさんからの回答は、なんと「4つともでいいですよ!」。有り得ないことです。まいまいさんの心の広さとご好意に感謝の気持ちでいっぱいでした!

 <9月> 4つのキャラクターに、名前を決めることにしました。児童会が映像を用いて、「キャラクターを4つにすること」「名前を全校から募集すること」を投げかけると、各教室からは歓声が沸き上がりました!

 <10月> 保護者にもご協力いただき、家族で話し合いながら名前の候補を集めました。497名の子どもたちからは、学校のシンボルである「くすの木」や、学校の近くを流れる「黒部川」などに関連したたくさんのアイディアが集まりました! 児童会は、どうやって候補をしぼっていくか、かなり悩んだようです。

 <11月> 各学級で話し合い、名前の案をしぼりました。そして、学級でしぼられた案をさらに代表児童委員会で話し合い、各キャラクターの最終候補名を5~6つにしぼりました。どの名前も「母校中央小」や「ふるさと小見川」を愛する気持ちがこもった素敵な名前でした!

 <12月> 12月1日に、全校児童、150周年記念事業実行委員の地域の皆さん、学校職員で最終投票を行いました。3年生以上はタブレットを使用しました。そして、4つのキャラクター名は「くすじい」「くすたろう」「くろべひめ」「くすりん」に決まりました。数ヶ月の選考を経て選ばれた、子どもたちの想いがいっぱいに込められた名前です! また、まいまいさんからは、4つのキャラクターの完成版が届きましたので、12月16日に、児童会から、「完成したキャラクター」と「決定した名前」が全校に発表されました。同時に、児童会から保護者へ向けた手紙が配られ、HP等でも公表しました! 今、子どもたちはまいまいさんへ感謝の気持ちを伝えるために知恵をしぼっているところです。

 

 たかはし まいまいさんと中央小の子どもたちとの出会いは、母校の先輩が絵本を贈っていただいたことをきっかけとして始まりました。そして、子どもたちは、創立150周年という学校の大きな節目に、キャラクター作りを通して、自主性や協力性、学校や郷土を愛することの素晴らしさなど、多くのことを学んでいます。これも、たかはし まいまいさんのご厚情とご協力のおかげです。職員一同、心より感謝しております。

 4つのマスコットキャラクターは、これからの150周年のお祝いの様々な場面で活躍していきます。そして、子どもたちには、まいまい先輩のように“母校中央小を、そしてふるさと小見川をいつまでも愛する” そんな心優しい大人に成長してほしいと願っています。

子どもの主体的な学びに向けて ~授業力向上への取組~

 学校生活の中で、子どもたちが過ごす大半は授業で学ぶ時間となりますが、その時間が子どもにとって楽しく魅力的なものにならないと、子どもの学ぶ意欲は低下し、教育効果は見込めません。そのため、私たち職員は、子どもの主体的な学びに向けて、自己の授業力を磨こうと日々研修に努めています。

  毎週木曜日の放課後には、全職員で研修を行っています。年間を見通した研修計画を立て、授業づくりや児童理解にかかわる具体的な手立てなどを学んでいます。特に近年は、授業でのICT活用が推進されるようになり、タブレット等を用いた効果的な学習方法を取り入れるようにしています。

  

 校内の研修だけでなく、校外から講師を招いた研修も積極的に行っています。

 7月には、中央小を会場に「授業公開&授業づくりワークショップ」を行い、他校から74名の教員が参加して研修を行いました。当日は、研究授業(6学級)、ワークショップ(国語・社会・算数・理科・生活・特別支援教育)、講演会(講師:山武市立日向小学校長 大木圭先生)を行い、様々な学校の教員同士が授業づくりについて学び合いました。

 また、本校は千葉県教育委員会から「ちばっ子の学び変革推進事業」の検証協力校に指定されていますが、9月には算数科の研究授業を行い、北総地区学力向上交流会では2年間の研究成果を地域の代表として発表しました。

 さらに11月には、千葉県教育委員会から20名の講師をお招きし、全学級での授業展開と分科会を行いました。専門性の高い指導主事や教科指導員から、全教員がマンツーマンで細かく指導をいただき、新しい学びの在り方について知る実り多い研修となりました。

  

 保護者の方を対象とした学校公開は、7月と11月に行いました。両日共に300名近くの方にご来校いただき、学習面における関心の大きさを強く感じているところです。

 学力向上に家庭との連携は欠かせません。そして、保護者の方に、お子様の学習への取組や努力の様子、成長ぶりを理解していただくことが、子どもの学びを支えることにつながると考えます。本校は “いつでも授業を観にきてください” というスタンスですが、今後も学校行事以外に日常の授業を観ていただく公開日を、意図的に設けるようにしていきます。

  中央小の子どもたちは、どの子も「学びたい」「伸びたい」という向上心があります。そして、私たちは「子どもの多様性を認め、一人一人の良さや可能性を引き出すために、みんなで考え、学び続ける教職員」を目指しています。

 教員は「授業が勝負」です。子どもたちの期待に責任をもって応えられるよう、職員一人一人が指導力を磨いていきます。

音楽の力のすばらしさ ~ドレミファ音楽会を開催~

 11月10日(木)に「ドレミファ音楽会(ありがとう集会)」を体育館で行いました。この会は児童会が主体となり、3年ぶりに開催されたものです。

 当日は、子どもたちが日頃お世話になっている「地域の同窓会」「PTA」「まちづくり協議会」「社会福祉協議会」「香取警察署小見川幹部交番」「人権教室や書初め練習の講師」「防犯ボランティア」「スクールバスの運転手や添乗員」「給食配膳員」の皆様(計17名)にご来校いただきました。また、たくさんの保護者の方々にもお越しいただきました。

 感染防止のため全校での歌は中止となりましたが、学年ごとの歌の発表や、児童から感謝の言葉やお礼のプレゼントが招待者の方々に贈られました。どの学年も感謝の気持ちを込めて一生懸命に発表し、来校された皆様から大きな拍手をいただきました。まっすぐに成長する子どもたちの姿と、みんなで力を合わせて発表する様子をご覧いただけたかと思います。また、本校職員による本気の合唱も披露させていただきました。

 マスクをしながらの音楽会ではありましたが、地域や保護者の皆様に温かく支えていただきながら、全校児童がそろって開催できたことをとてもうれしく感じております。                                      

  音楽はわたしたちの暮らしに欠かせないものであり、学校教育では子どもが音楽に親しむ機会を大切しながら、豊かな心を育てています。朝の始業前や給食時は、素敵な曲が放送で流れ、学校は落ち着いた雰囲気に包まれます。また、授業中は音楽室からにぎやかな楽器の音が聴こえ、軽快で楽しいリズムが校舎内外に響きます。

 学校では当たり前の光景かもしれませんが、マスク着用の生活や給食での黙食などと同じように、子どもが歌で表現する活動だけは、コロナの影響で縮小又は休止せざるを得ない状況が続いていました。今回の音楽会の開催をきっかけに、全ての教育活動で、子どもが自由にのびのびと過ごせる日が早く戻ってきてほしいと願っています。

 

 先日は、香取郡市の音楽発表会に「器楽部」と「合唱部」が参加しました。保護者の方の観覧は“自校のみ”と制限付きではありましたが、当日は驚くほどのたくさんの本校の保護者の方々が会場に駆けつけてくださいました。そして、中央小の子どもたちは練習の成果を十分に発揮し、すばらしい発表をすることができました。音楽が大好きな小・中学生が集まる晴れ舞台で、共に練習に励んできた仲間同士の気持ちが一つになった合奏・合唱と、緊張の中でもがんばる子どもたちの成長した姿に私も感動しました。

 音楽はすばらしい文化です。そして、いつまでも大切にしていきたい教育活動です。コロナ禍ではありますが、音楽会や部活動を通して子どもたちが大きく成長し、音楽の力で子ども・保護者・地域の方・教職員の心の絆が深まっていることを感じています。

 中央小は「地域に愛される学校」を目指しています。また、教職員は、「子ども一人一人の良さや可能性」を引き出せるようにがんばっています。

 これからも本校教育へのご理解・ご協力をお願いいたします。