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校長日記
一人一人が安心して学べる子ども主体の学校に
満開の桜が咲く中、令和7年度がスタートしました。
春休み中の交通事故や水の事故もなく、全校児童がそろって元気に新学期を迎えることができたことを、とてもうれしく思います。
先日、小見川のいぶき館で「夢みる校長先生」という映画を観る機会がありました。全国各地の公立小中学校の校長が、子どもファーストな学校づくりを目指して取り組んでいる姿を集めた作品で、とても心地よい刺激をいただきました。どの学校の子どもたちも生き生きと活動していたことが最も印象的で、新島小の子どもたちのことを思い浮かべながら鑑賞させていただきました。
映画に登場した各校長の経営方針やリーダー性、学校の特色や取組等はそれぞれです。しかし、子どもファーストな学校づくりを目指す校長の考えや前例にとらわれない行動力が、子どもたちの表情や成長に結びついていることは共通していました。私も新島小の校長として、私なりのやり方で、子ども主体の楽しい学校を目指しがんばっていきたいと思います。
本校は昨年度から学校教育目標を「自分の良さや成長を実感できる子どもの育成」とし、より子ども主体の学校づくりを目指すこととしています。また、教職員は「子どもの多様性を理解し、一人一人の良さや可能性を引き出す」ことを共通の目的とし、力を合わせて子ども主体の教育活動を進めるよう努めています。
本校の教育方針が、学級・学校全体を引き上げていくことから、学校での様々な集団生活を通して、一人一人の子どもと向き合い、それぞれの良さや成長を認めながら、可能性を引き出していく視点にシフトしている形です。
私は、学校は社会の縮図であり、学校教育の役割は“人づくり”をすることと捉えています。教科等の授業や学校行事はもちろんですが、朝の登校から始まり、給食やたてわり掃除、自由に遊ぶことなどを通して、子どもたちは友達や上下学年、教職員などと関わります。そして、その全ての教育活動が子どもたちの様々な体験や学びとなり、いずれは社会で自立していく力につながると考えています。
子どもたちに「学校は、大人になる準備をするところだよ。」と話をしたり、保護者の方には「お子さんをなるべく学校に登校させてくださいね。」とお願いしたりしますが、それは、学校での集団生活で培う力が、将来の社会をたくましく生きていく力になると信じているからです。
厚生労働省と警察庁の発表によると、昨年の小中高生の自殺者数は529人で、過去最多となりました。原因・動機は、学業不振や友達との不和などの「学校問題」が最も多いとのことです。私は教育界の最重要課題と捉えています。
また、不登校の子どもの数も、全国で歯止めがかからない状況が続いています。どの子どもにも「自分を高めたい。学びたい。」という向上心がありますが、学校の現状としては、すべての子どもの期待やニーズに応えられていない表れであると感じています。
これらのことは学校教育全体の課題ですが、私は目の前の新島小の子ども一人一人と向き合いながら、子ども主体の学校にするために、これからも全力を注ぎたいと思います。
今年度の新島小の子どもたちは87名。一人一人が”地域の宝”です。全ての子どもたちが安心して楽しく学べる学校づくりに向けて、職員で知恵をしぼりながらがんばっていきます。
前年度と同様、保護者や地域の皆様の本校教育に対するご理解・ご協力をお願いいたします。
卒業証書授与式に込めた思い
3月18日(火)に卒業証書授与式を行いました。たくさんのご来賓・保護者・在校生そして職員に見送られながら、卒業生23名が母校を巣立ちました。
学校ではこれまでに様々な行事を行ってきましたが、やはり卒業式は特別です。本校は日頃から上学年と下学年の児童相互の心の絆が強い学校ですが、全校での校歌斉唱や、卒業生と在校生それぞれからの「お別れの言葉」や「お別れの歌」がとても素晴らしく、圧巻で感動的でした。式典を通して卒業生は卒業の喜びを味わい、在校生はこれまでの練習の成果を発揮した達成感と、厳粛な雰囲気で静かに流れていく卒業式の素晴らしさを体感することができたことと思います。
職員も卒業式に向けて、指導や準備に力を入れてきました。「今年度は呼びかけをやろう」という話が職員間で持ち上がり、在校生の呼びかけは担当が言葉を一から考え、卒業生の呼びかけは卒業生が自分たちで言葉を考えて作り上げました。歌は「どんな歌にしようか」と担当が児童の意向を聞きながら曲目を決め、在校生は二部合唱にもチャレンジしました。
また、保護者控室を図書室に設置し、式典前には職員が作成した映像を保護者の方に観ていただきました。1年生の頃からの写真をふんだんに使用した担当手作りの映像で、6年間の成長を改めて感じていただけたかと思います。
他にも、卒業生の呼びかけや歌で一人一人の顔が見えるよう「ひな壇」を作成したり、教室や廊下等の掲示や飾り付けを工夫したり、体育館や控室を花でいっぱいにしたりと、職員みんなでアイディアを出し合いながらがんばって準備を進めました。
式典の1週間前には、数名の卒業生や職員等が新型コロナに感染するピンチを迎えましたが、臨時休校の緊急対応をさせていただいたり、登校を再開しても式典練習を中止したりして、感染の広がりを食い止めることを最優先して対処しました。卒業生がそろったのは卒業式の前日でしたが、6年担任が児童一人一人の気持ちに寄り添いながら親身になって対応してくれました。
全職員が一丸となって卒業式に臨むことができたのは、職員一人一人に「卒業生のために」という強い思いがあったからです。私たちの仕事は子どもたちに愛情を注ぐことですが、その注ぎ方は様々であり、その一つの形が今回の卒業式であったと思います。私にとっても卒業生とは1年間のかかわりでしたが、素晴らしい子どもたちと出会い、一生忘れられない最高に楽しい1年間となりました。
これまでの指導を含め、至らない点も多々あったと思いますが、保護者の皆様には6年間にわたる本校教育へのご理解・ご協力をいただき、深く感謝申し上げます。
卒業生23名の今後のご活躍を、心よりお祈りしています。
学年を越えた心の絆
本校教育の特色の一つに、「学年を越えた心の絆」が挙げられます。小規模校の利点を活かし、高学年の子どもたちは、たてわりでの遊びや清掃、地区別の集団登校などで、下級生をリードしています。また、下級生は先輩の思いやりや温かさを感じながら、協力性や社会性を学んでいます。上級生と下級生が様々な場面でかかわる活動の積み重ねが、新島の子どもたちの素直で誠実な心に響き、学年を越えた強い絆を育んでいます。
1月には業間活動で、8つのたてわりグループに分かれて長なわを行いました。どのグループでも上級生が下級生に跳び方を優しく教える微笑ましい姿が目立ち、学校じゅうが温かい雰囲気に包まれました。
2月からは、卒業を控えた6年生が下級生の教室へ行って、給食を一緒に食べています。学校のリーダーとして活躍している6年生が、下級生と互いの心を通わせながら楽しく食事をする姿がとても印象的で、一人一人の心の成長を育む良い機会となっています。
3月には、ポプラの苗木を全校児童で植える計画を立てています。ポプラは校歌に歌われている「新島小のシンボル」ですが、現在グラウンドにある4本の大木がかなり古くなっているため、6年生が卒業する前に全校児童で新しい苗を植樹したいと考えています。子どもたちの心の絆がさらに深まり、小学校での思い出に残る活動になればと期待しています。
学校ではまとめの時期を迎えましたが、新島小の子どもたちは、年明けから驚くほどの成長を見せてくれています。特に、卒業や進級への準備を進めるこれからの時期は、子どもの豊かな心を育てる良い機会です。
学年を越えた強い心の絆で結ばれている新島の子どもたちに、これからどのような教育活動を展開していくか、年度末は学校の力の見せどころです。このチャンスに、職員で知恵をしぼりながら、子ども一人一人の心に響く教育を充実させていきます。
新しい年がスタートしました。職員一同、新たな気持ちでがんばります!
冬休みが終わり、元気な子どもたちが学校に戻ってきました。心配していた年末年始の事故もなく、全校児童がそろって新年を迎えることができたことは、とてもうれしいことです。
私はお正月の1月2日に学校の見回りをしました。そして、今年も子どもたちの成長を見守り支えてくれる新島小の校舎に3つのお願いをしました。
一つ目は、「子どもたちが交通事故や水の事故にあいませんように。97人の子どもたちの大切な命を守ってください。」ということです。
二つ目は、「子どもたちが仲良く学校生活を送れますように。子どもと教職員が健康で楽しく過ごせますように。」ということです。
三つ目は、「日本じゅう・世界じゅうから災害や戦争が無くなりますように。安全で平和な世の中になりますように。」ということです。
1月6日(月)の登校再開日には、これらの願いを全校児童にも話しました。
どの子も「新しい年にがんばろう!」という希望をもって登校しています。子ども一人一人の期待にしっかりと応えられるよう、今年も子どもたちの健やかな成長に向けて、職員一同、精一杯努力してまいります。
本校教育に対する皆様のご支援・ご協力をお願いいたします。
最後までがんばる姿に感動! 校内マラソン大会
11月30日(土)に校内マラソン大会を行いました。当日は雲ひとつ無い晴天のもと、たくさんの保護者や家族の方々が応援に駆けつけてくださりました。子どもたちがラストスパートをかける沿道からグラウンドへ入る花道で、周りからの熱い応援が一人一人の背中を押してくれました。まるで箱根駅伝のような歓声が会場に沸き立ち、大会はとても盛り上がりました。
マラソンコースの安全確保のためにご協力いただいた香取警察署や交通安全協会の方々、PTA校外指導委員の皆様には、深く感謝申し上げます。また、保護者の皆様には、10月からの業間マラソンへの取組やお子様の体調管理にご協力をいただき、ありがとうございました。
子どもの視点で考えると、マラソン大会はなかなか悩ましい行事です。学校は子どもの意欲を大切にしながら教育活動を進めていきますが、全ての子どもがマラソン大会を楽しみにしているわけではありません。マラソンはそもそも苦しくてつらいスポーツであり、同学年で競い合えば、速い子も遅い子も出てきます。マラソン大会には明らかに、他の教育活動とは異なった子どもからみたマイナス面の特性があります。
今回も本番が近づくにつれ、「校長先生、大会やりたくないよ~」と子どもたちは本音をぶつぶつと言ってきました。私はそのたびに心苦しい気持ちになりますが、何とかマイナス面をプラス面に変える作戦を立て、大会後には全ての子どもが達成感を味わえるようにしたいと考えて当日を迎えました。
一つ目の作戦は、マラソン大会で目指すべき方向性を子どもに伝えてきたことです。
大会の数日前から、全校の子どもたちに「大会では自分の目標をもって走ろう」ということ、そして「目標はそれぞれ違うこと」や「人は目標があるとがんばれる」と呼びかけてきました。順位に縛られるのでなく、各自の目標を達成することに目を向けるようにしました。
また、開会式では「今日は最後までがんばることが大切」と話しました。「目標をもつこと」や「最後までがんばること」は、全ての子どもが達成できるゴールだからです。
二つ目の作戦は、子ども一人一人の努力や取組を評価するようにしてきたことです。
子どもたちには、業間マラソンに休まず参加したり、苦しくても逃げずに大会へ出場できたりしたことを大いに褒めています。一人一人の努力を評価し、次への意欲につなげることに、教育的意義があると考えています。
社会生活が便利になり、子どもが育つ日常生活には、厳しさや困難さを経験する機会が減ってきています。また、学校のスポーツ活動も、時代の流れとともに、以前のような根性第一の考え方でなく、児童の主体性や自主性を尊重するようになっています。
「昔と比べて、今の子どもたちは…」という話をよく耳にしますが、今回のマラソン大会を通して、新島小の子どもたちには、以前と変わらないたくましさや強さがあることを感じました。マラソン大会の目的ややり方は社会の変化と共に変わりますが、今回のような貴重な経験をすることも、未来を切り開いていくための子どもたちの生きる力になってくれることと信じています。
マラソン大会で苦難から逃げずに懸命に走り抜いた子どもたちは、誰もが100点満点です。そして最後までがんばった子どもたちのことを、校長として誇りに思います。これからも子どもの意欲を大切にしながら、一人一人の成長をしっかりと見守っていきます。