校長からのメッセージ

2025年6月の記事一覧

校長のことばコラム2  『じ』と『ぢ』、『ず』と『づ』の使い分け(2)

 前回の『ことばコラム』は『稲妻』のふりがなについてお話ししました。そうすると、他の言葉の『じ』と『ぢ』の使い分けはどうなのか気になりませんか?

 今日は、そのあたりについてお話したいと思います。

 

 まず、結論から言うと、『じ』『ず』の使用が基本で、『ぢ』『づ』は例外扱いとなっています。

 これは、前回も触れた、昭和61年内閣告示の『現代仮名遣い』で、もとの漢字の音がはっきりしているものについては『ぢ』『づ』の使用を認めるものの、基本的には『じ』『ず』を用いるように、との定めがあるからです。

 例えば『築く(きず-く)』は『築山(つきやま)』などの熟語から判断するに、元々の仮名は『きづく』であったはずですが、現在ではそれは認められておりません。
※『気付く(きづ-く)』と判別する意味もあるかもしれません。


「じゃあ、『地面』や『地震』だって『ぢめん』や『ぢしん』でもいいのでは?」と思った方。

 残念ながら、こちらは『じ』が正しいようです。


 なぜでしょうか?

『地』については、『ち』が濁音化して『ぢ』になったわけではなく、実は、もともと『じ』だったから、というのが、その理由です。

 どういうことかと申しますと、日本で用いている漢字の音読みには、『呉音』、『漢音』、『唐音』という3種類があります。『京』を『きょう(呉)・けい(漢)・きん(唐)』と読み分けているアレです。

 これは、日本が中国から漢字を導入したとき、導入した地域や時代が違っていたためです。

 古墳時代頃になりますが、日本の大和朝廷は、中国の長江流域にあった『南朝』と言われる政権と親交を結んでいました。この時代に本格的に漢字を導入します。これが『呉音』です。ところが、日本が親しかった南朝の政権は、華北を統一した隋に滅ぼされてしまいます。慌てて隋の文化を導入しようとすると「言葉が違う!?」となりました。これが『漢音』です。

 ここで全部切り替えてしまえば良かったのですが、かなり使われるようになっていた『呉音』を捨てる難しい、と並行して使用していたら、そのまま定着してしまった。そんなわけです。

 ちなみに、残った『唐音』は、中国で時代とともに変化していった発音を取り入れたものとなります。

 

 で、『地』はどうなのかと言いますと、『ち』は、長安(※西安)付近で使われていた『漢音』で、『じ』は南京付近で使われていた『呉音』なんだそうです。

 ややこしい話ですが、こんな訳で『地面』のふりがなは『じめん』なのです。

第2回 学校運営協議会

 6月11日に第2回の学校運営協議会を実施しました。

 

 

 

 

 

 

 委員の皆様には、緑の贈呈式に参加していただいたり、いつでも参観に合わせて授業を参観していただいたりするとともに、学校の運営等について御意見をいただきました。

 そこでは、


「6年生を送る会や運動会など、地域の方々が学校を訪問できる機会が何回かあるが、なかなか広まっていないので、我々も宣伝したいと思った」
「和やかに授業が行われていて雰囲気の良さを感じた」

 などが出されました。

 委員の皆様におかれましては、第1回の5月24日から期間が短い中での御来校、誠にありがとうございました。今回いただいた貴重な御意見を基に、よりよい東大戸小学校にしてきたいと思います。委員の皆様、これからもよろしくお願いいたします。

校長のことばコラム1 『稲妻』、ひらがなで書くと?

 まず、タイトルに挙げた『稲妻』ですが、仮名を振ってみてください。

 ①いなずま
 ②いなづま

 あなたはどちらを選びましたか?

 知り合いに聞いてみたところ、圧倒的に②の方が多かったのですが、いかがでしたか?

 

 


 では、これならどっちを選びますか?

 ①イナズマ
 ②イナヅマ

 知り合いに聞いたところ、今度は逆に①の方が多くなりました。

 皆さんは、これをどう感じましたか?


 さて、この『いなずま』と『いなづま』。果たしてどっちが正しいのでしょうか。

 

 その答えは……。

 A.どっちも正しい。


 もったいぶってすみません。でも本当なんです。

 実は、戦後の昭和21年に内閣告示として公布された『現代かなづかい』では、『じ』と『ぢ』、『ず』と『づ』について、「『ザ行』の方を本則とするが、発音を分けている地方では書き分けても良い」ということになっています。

 私たちの住む千葉県北東部では、『ず』と『づ』は、発音の区別がありません。ですから、「①の『いなずま』が正しい」ということになりました。

 ところが、これではいろいと問題がある(※書くと長くなるので割愛します)ということになりました。そして、昭和61年に内閣告示として『現代仮名遣い』が公布され、許容の範囲が広がって現在に至る。こんな流れになります。

 ここで『いなづま』も許容された。とこんなわけです。

「『現代かなづかい』に問題があった」というのはよくわかります。そもそも『かなづかい』からして『づ』を使っているわけですから。


 ちなみに、なぜ、『かなづかい』は『づ』だったかというと、「『かな+つかう』の複合語だから」という理屈でした。ですが、「だったら稲妻だって『いね+つま』じゃないか!」という論に反論できず、『どちらでもいい』というややこしい結果が生まれたようです。

 

 現任の校長は国語科専攻です。ですから、時々こんなコラムを掲載していきたいと思います。御家庭での話題作りなどに御活用いただけましたら幸いです。