職員あいさつ

絵本をもう一度


1年生の女の子に「先生の好きな本は何?」と聞かれて、「ぐるんぱのようちえん」と答えました。幼い頃母が読み聞かせしてくれたことがきっかけで,大好きになった私のお気に入りの絵本です。不器用でも一生懸命なゾウのぐるんぱが可愛くて、何度も読み返した記憶があります。

 

12月20日は、この本の画家である堀内誠一さんの誕生日です。堀内さんが戦後、14歳から働き始め54歳で亡くなるまでに関わった作品は、今も多くの人々に愛されています。「ぐるんぱのようちえん」、「くろうまのブランキー」「ほね」、「たろうのおでかけ」、「ちのはなし」

子どもの頃に出会った絵本たちが、どれも堀内さんが描いたものだと知ったときは信じられませんでした。ひとりの画家が描いたとは思えないほど、1冊ずつ絵のタッチが異なるからです。さらに、雑誌「anan」や「POPEYE」のロゴを作ったのも堀内さんだというから、その表現の幅に驚きです。話の本質を読み取り、多彩な表現で伝える堀内さんの素晴らしさに気付いたのは、大人になってもう一度絵本を開いたときでした。

 

その子に「好きな本は何?」と聞き返すと、本の題名と共にいろいろな話をしてくれました。「ぐりとぐらが作るカステラが美味しそう!」「動物が出てきてワクワクする。」「お母さんが読んでくれた!」色・香り・味・嬉しさ・悲しみ・ワクワク…そして読んでくれた人のこと。子どもたちは絵本を読みながら沢山のことを感じ、想像しているようです。私も子どもの頃に同じことを感じていたなあ、となんだか懐かしい気持ちになりました。

 

もう一度絵本を開いたら、子どもの頃を思い出して懐かしい気持ちになるかもしれません。大人の視点から、新しい発見があるかもしれません。あの頃好きだった絵本を、ぜひ子どもたちと一緒に読んでみてください。