学校から

2030年の社会とは① 7月22日(水)

 「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後に、今は存在していない職業に就くだろう」

 

 これは、2011年8月7日のアメリカの新聞「ニューヨークタイムズ」紙のインタビュー記事で、キャシー・デビッドソン氏(ニューヨーク市立大学大学院センター教授)が語った言葉の一部です。

 このほかに、

 「今後10~20年程度で、約47%の仕事が自動化される可能性が高い」

 (マイケル・A・オズボーン氏 オックスフォード大学准教授)

など、社会構造が大きく変化することを予測した意見が同じ時期に目立つようになりました。

 2011年に小学校に入学した子供が大学を卒業するのは2027年です。今年は2020年なので、7年後ということになります。

 現在の6年生にあてはめれば大学1年生、1年生なら中学2年生になります。もうすぐです。    

 確かに、AI(エーアイ=人工知能)の発達により、身の回りの様々なことが一層便利になってきています。

 「Society(ソサイエティ=社会)5.0」という言葉もよく耳にします。Society1.0は狩猟社会、2.0は農耕社会、3.0は工業社会、4.0は情報社会、そして、次に来るのが「超スマート社会」と言われています。現在はもうすでにそこに足を踏み入れているかもしれません。「スマホ」(スマートフォン)は、だれもが普通に持つ時代になっているのですから。自動車も文字通り「自動運転」がすでに実用化されています。人が操作しなくてもAIが操作してくれるようになってしまっています。

 そのような現実を考えれば、65%の新しい職業というのはあながち間違いではない気がします。皆さんはどうお考えですか?

 

 小学校では、今年から新学習指導要領が全面実施されています。

 学習指導要領とは、全国どこの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省が学校教育法に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めたものです。10年ごとに改訂されます。

 学習指導要領では、小学校、中学校、高等学校ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めています。これらを基本にして、学校では地域や学校の実態に応じて教育課程を編成しています。

 

 今回の改訂では、これまでと大きく変わったことがあります。

 それは、「何を理解しているか、何ができるか」「理解していること・できることをどう使うか」の先に「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という新しい時代に必要となる資質・能力の育成がクローズアップされたことです。

 そこには、

 「人工知能が進化して、人間が活躍できる職業はなくなるのではないか」

 「今学校で教えていることは、時代が変化したら通用しなくなるのではないか」

といった疑問や心配が背景にあります。

 

 長くなりそうなので、この続きはのちほど。 (文責 海寳)