学校から

2030年の社会とは③ 〜リーディングスキルを問う問題〜 8月4日(火)

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  今回は、私(海寳)が、6年生の算数の問題を作成してみました。算数の問題を作ったのは初めてですが、日常にありがちな設定をしたうえで、どう対処するかを図ってみました。単元名は「割合」です。学習課題は、「日常生活で生きる割合の考え方を知ろう」です。

 問題は以下のとおりです。100%オリジナルです。

 

《さんすうのもんだい》

・お母さんと買い物に行ったゆあちゃんは、ずっとほしかったくつが70%引きで売っているのを見つけました。ほしい色とはちがいますが、色ちがいだと、さらに30%引きです。

 どちらを買うかまよってしまいました。

 もとのねだんは3,500円(税別)です。

 もし、あなたがゆあちゃんとすごく仲の良い友だちだとして、「こっちのほうがいいよ」とおススメするならどちらですか。

 また、それはなぜですか。「だってさぁ、」に続くように、二つ以上の理由を入れなさい。

 買う時にはらう金がくもふくめてせつめいしなさい。

 ちなみに、ほしかったくつはげんてい5足で、2足のこっていますが、色ちがいのくつは、同じくげんてい5足で、のこりは1足だけです。

 

さんすうのもんだい 回答用紙

                      氏名        

 

ゆあちゃん、私は                              がいいと思うよ。 

だってさぁ、

 ①

 ②

 ③ 

 だから、                                 すれば?

 

 まずは5分間で考えてみよう、と指示しましたが、途中で「あと5分」「あと10分」と要求され、一生懸命考えている様子に思わず「いいよ」と言ってしまいました。

 問題文をよく読み込み、頭を抱えながら深い学びに入っていました。

 子供たちの回答で最も多かったのは「色ちがいのくつをおススメ」でした。理由は、安いから。余ったお金で他のものを買える、というものでした。

 また、70%引きからさらに30%引きに「えっ? タダ?」と考えてしまう子もいました。「さらに」という言葉の意味を飛ばしてしまったようです。まさに、リーディングスキルが問われる部分です。

 さらに、限定5足で残り2足などの条件付けがなされているので、その部分も考えながらの理由付けができるとよいと思います。

 

 全体的な傾向を聞いた後で、「税別」と「税込」の値段の違いや、考えられるパターンを5種類あげると「それもありかー」「じゃぁ・・・」「ちょっと変えようかな」という表情をした子が何名かいました。

 また、自分で買うのではなく、すごく仲の良い友だちにおススメするという状況を考え直し、相手の気持ちに思いをいたすことで、また違った理由を考えられる可能性を感じました。

 問いでは、「おススメするならどちらですか?」と尋ねていますが、「両方買えば」という考え方も間違いとは言えません。実際の場面ではあり得るからです。

 もっと極端に言えば今回の問題では、「全部(3足)買うのもありかも」という発想も面白いでしょう。なぜなら、全部買っても元の値段よりも安いのですから。2足、あるいは3足同じ靴を買うことのメリットを出し合うことで、新たな価値観に気づくこともあるはずです。

 2030年の社会に必要な思考の一つとして、「AかBかを考える中で、Cという発想を持てることが大切だ」と言われています。この発想こそがAI(人工知能)には持てない力だと言われています。

 交流に時間をかけられれば、より多くの理由をつむぎだせるのではないかと思いました。

 正解のない課題に、あらゆる知識と経験を動員して頭をひねっている子供たちの姿は、まさに「学び」の姿と言えます。 

 ソーシャルディスタンスは意識させていたのですが、学習に夢中になるとどうしても・・・。 ・・・言い訳になってしまいました。 (文責 海寳)