学校から

2030年の社会とは② ~無意識の意識化~ 7月28日(火)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の一環として、国からは企業に対して「テレワーク」が推奨されています。緊急事態宣言下では、多くの企業でテレワークが実施され、その可能性を評価した声も聞かれます。ただ、仕事によってはテレワークが不可能な職種もあるので、一概に良いとか悪いとかの評価は出しづらい面もあります。

 ところで、「テレワーク」の意味を考えたことはありますか。

 「テレ」を使った言葉を集めてみると次のようなものが頭に浮かびます。

  テレビジョン tele-vision

  テレフォン  tele-phone

  テレパシー  tele-pathy

  テレスコープ tele-scope

  テレポーテーション tele-portation

 「テレ」(tele)はもともとギリシャ語で「遠い」を表す言葉だったそうです。現在は「遠方の」「電信の」という意味で使われるそうです。

 テレビジョンは「遠くに画像を送る」、テレフォンは「遠くに声(音)を送る」という意味になります。

 共通するものを取り出して意味を探り、語を分解して考えると、うっすらと語の成り立ちが見えてきます。

 「テレワーク」の意味があぶりだされてきたでしょうか。

 

 「物語」の「物」の意味を知っていますか。

と、尋ねると多くの返答は「考えたこともない」でした。

 「物」(もの)に対するのは「事」(こと)。「こと」とは、古事記や日本書紀など「事実」を表すと言われています(はたしてどこまでが事実かは定かではありませんが)。それに対する「もの」は、「現実にはないもの、霊的なもの」を表すと言われています。「物の怪(もののけ)」の「もの」と通じるかもしれません。

 つまり、事実ではない(フィクション)、現実にはない話を語る(騙るーかたる)ことを「物語る」というわけです。

 

 このように、あたりまえのように言葉だけを覚えて、その意味なんて「考えたこともない」ということが身の回りにはたくさんあります。そのようなことに目をとめて不思議に思ったり疑問を持ったりすることから学習は始まります。まずは目をとめる(意識化する)ことを習慣化させることが大切です。そして調べて意味を探るのです。

 これこそが「無意識の意識化」であり、「主体的な学習」の始まりです。

 NHKの「〇〇ちゃんに叱られる」という番組は、まさにそれを地で行っています。

 新たに得た知識や、自分で発見した考えは誰かに話したくなります。誰かに聞いて欲しくてたまらなくなります。その結果、「へぇ〜」「初めて知った」「すごい!」というリアクションが返ってきたら最高です。気分がよくなって、もっといろいろな人に話したくてしょうがなくなります。

 「アウトプット」の効果です。相手から良い評価を得ることで、繰り返してしまう。その結果、一生忘れない知識として定着します。

 これまでの学習は、知識を得て(インプット)、それを生かす(アウトプット)までに至らないことが多くありました。生かすのはテストぐらいでしょうか。しかし、本来の学習は日常生活や社会生活で生かすためにあるのです。使って生かす(アウトプット)ために行うのが学習です。「学びの必然」です。不思議や疑問が「知りたい」「解決したい」に変わり、調べて考えてまた調べてわかったことを誰かに伝えて評価を得る。その評価が良い感触なら気分よく他の誰かに話したくなり、また気分よくなる。このようなプラスのスパイラルが自然に学習効果を上げていくのです。

 

 新しい学習指導要領は2030年の社会に生きる目の前の子供たちに、今、身に付けさせるべき力は何かということを見据えて、「主体的・対話的で深い学び」「無意識の意識化」「正解のない課題に立ち向かう」「合意形成能力」「発想とひらめき」「創造力」「課題発見・解決能力」「メタ認知」などをキーワードとして、それぞれの発達段階に応じて学習内容を定めています。 

 今日はこの辺にしておきます。 (文責 海寳)