学校から

「SDGs」と「4R」 1月13日(水)

 「SDGs(エスディージーズ)」(持続可能な開発目標)

 これは、このところ新聞やテレビでよく目にする言葉です。

 Sustainable Development Goals(サスティナブル ディベロップメント ゴールズ)の略称です。2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた国際社会共通の目標です。「17のゴール(目標)」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されています。これらを2030年までに達成しましょうと呼び掛けているのです。

※国連開発計画資料より抜粋

◎17のゴール

1貧困をなくそう

2飢餓をゼロに

3すべてのひとに健康と福祉を

4質の高い教育をみんなに

5ジェンダー平等を実現しよう

6安全な水とトイレを世界中に

7エネルギーをみんなに そしてクリーンに

8働きがいも経済成長も

9産業と技術革新の基盤を作ろう

10人や国の不平等をなくそう

11住み続けられるまちづくりを

12つくる責任 つかう責任

13気候変動に具体的な対策を

14海の豊かさを守ろう

15陸の豊かさも守ろう

                   16平和と公正をすべての人に

                   17パートナーシップで目標を達成しよう

 

 「持続可能な」というフレーズを聞いて、20年ほど前に個人的に参加した環境問題について考える講演会を思い出しました。「持続可能な社会」を目指して「自分が」できることについて考えるという内容でした。そこで初めて聞いた言葉のひとつが「4R(よんあーる)」です。現在、様々な自治体でごみを減らすための取組として「3R(さんあーる)」が提唱されています。

 「3R」とは、Reduce(リデュース=少なくする)、Reuse(リユース=再使用する)、Recycle(リサイクル=再生利用する)の頭文字をとったものです。

 「4R」は、3Rの前に Refuse(リヒューズ=断る)が入ります。何を断るかというと、

 ・マイバッグを持ち歩いて、レジ袋を断る。

 ・マイ箸を持ち歩いて、割りばしを断る。

 ・水筒、マイボトルを持ち歩いて、ビン、缶、ペットボトル飲料の購入を控える。

というものです。

 つまり、順番としては、①断る ②減らす ③再使用する ④再生利用する となります。確かに、日本ではお菓子など食べ物を買った場合に、食べるものよりも包装紙などのゴミになるもののほうがはるかに多いことに気づかされます。見た目にこぎれいで丁寧ですが、あとに残されたゴミを見るとどうなんだろうと考えさせられます。マイバッグやマイボトルもこのところかなり当たり前になってきた感があります。このことを20年以上前から提唱していた方がいるのです。時代がやっと追いつきました。というより、実現させるのに20年もかかった、と言ったほうが正しいかもしれません。

 この講演会で今でも鮮明に覚えているのが、日本のごみ処理も含めたごみ関連の1年間にかかる費用すべてでいくらかという問題です。答えは、その当時で6兆8千億円でした。約7兆円です。この7兆円というお金がどのくらいのものか想像できますか、と訊かれました。たとえば一人の人間が毎日100万円使ったとしたら7兆円を使い切るには何年かかるでしょう、というたとえです。答えは2万年でした。想像のはるか先でした。金額の大きさを実感させるうまいたとえだなと感心してしまいました。それだけ多くの費用がごみ処理にはかかっているということです。

 また、環境問題ではよく「リサイクル」という言葉が出ます。「リサイクル」とは、「元の形を変えて新たなものを生み出すこと」です。ビール瓶などを洗って何度も使うことは「リユース」です。リサイクルは、何かを粉砕したり溶かしたりして別の形にして利用することを言います。リサイクルをするためには多くのエネルギーを消費して、逆に環境を悪化させているということもある意味事実です。さらに、ごみの量があまりにも膨大で処理が追いついておらず、リサイクルは実際にはほとんど進んでいないという現状があります。日本国内のプラスチックごみのほとんどは中国に輸出していましたが、2年前から中国は受け入れを禁止しました。近隣のアジア諸国からもゴミを受け入れていたので、中国国内から出るごみと合わせて、キャパシティがいっぱいになってしまったとのことです。リサイクルは、現状では限界に達しているということです。

 レジ袋の有料化の原因にもなった気候変動や海洋プラスチックごみの削減など、国際社会では脱プラスチックへの流れがあります。昨年あたりからはラベルのないペットボトルが増えています。最近ではストローが紙製になったり、そもそもストローを使わなくなってきています。あるのが当たり前だと思っていたものは、じつは無くてもなんとかなることが多いことに気づかされます。(病気等で必要な方もいらっしゃいますが)

 ポイントは、持続可能な環境・社会のために「自分は何をするか、何ができるか」を考えられるようにすることです。他人事のように「~すればいい」「~しなければいけない」などと言うことはできます。しかし、「自分は」と自分を主語にしたときに「できない自分」「しようとしない自分」に気づきます。

 このほかに、この講演会では地球温暖化についての国際環境会議での情報として、平均気温が1°C上がると海水面が約30cm上昇すると言っていました。その影響で、世界中の多くのビーチリゾートが水没する、と。また、その状況がエスカレートすれば、日本の臨海工業地帯はほぼ水没です。また、南極大陸の上には平均2500mの厚さの氷が表面を覆っています。その氷が溶けだしたら、大きな氷の塊がまるで熱したフライパンの上のバターのように海に滑り落ちます。その衝撃で、高さ数百メートルの津波が、時速数百キロメートルの速さで、付近の島を飲み込みます。現に、今、南大西洋上には南極大陸の棚氷から分離した巨大氷山が漂流していて、ペンギンやアザラシの繁殖地として有名なサウスジョージア島に衝突する可能性もあるというニュースがあります。巨大氷山の大きさは、全長151㎞で最大幅48㎞。面積は約4800平方キロメートルで、群馬県よりも広いと伝えていました。高さの情報は見つかりませんでしたが、かなりの高さはあるでしょう。水中部分は150〜180メートルあると言われています。簡単に言えば、ある島に、その島よりも大きな氷山が衝突するわけです。20年前の国際環境会議での予測が現実になっているのです。

 今週土曜日には第2回リサイクル活動が行われます。この機会に、ごみ問題や環境問題にも目を向けるきっかけにしたいと思います。(文責 海寳)