学校から

残暑お見舞い申し上げます。 8月8日(月)

 夏休みも約半分が過ぎました。皆様いかがお過ごしでしょうか?

 昨日は立秋(りっしゅう)でした。今日からは「残暑お見舞い申し上げます」です。

 コロナ感染の第7波が猛威を振るい、感染者数の急増が続いています。8月4日には熊谷俊人千葉県知事から「BA.5対策強化宣言」がなされました。

 先週はやや気温が落ち着き、過ごしやすい日が数日あり少しほっとしたところでしたが、昨日からはまた気温が上昇し、今週は30度越えが続く予報です。感染対策だけでなく、熱中症対策も併せて気をつけていきましょう。

 気象に目をやると、線状降水帯(せんじょうこうすいたい)により、東北日本海側および北陸地方が豪雨に見舞われ、洪水や土砂崩れなど大きな爪痕(つめあと)を残しました。被災された皆様にお見舞い申し上げます。

 千葉県内でも大気が不安定で、各地でゲリラ雷雨が確認されています。外で遊んでいたりスポーツをしているときには、怪しい雲行きや風が吹いてきたら要注意ですね。

 昨日も、急に大雨が降ってきてびっくりしました。その代わり、雨後には大きな虹を見ることができました。

 

 立秋になるとあの有名な和歌が思い出されます。

 

 秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

(出典:古今和歌集 作者:藤原敏行)

意味-「秋が来たと、目にははっきりとは見えないけれど、(さわやかな)風の音で(秋の訪れに)はっと気づかされたことです。」

 

 この歌には「秋立つ日詠める(よめる)」という詞書き(ことばがき)が添えられていますので、立秋の日に詠んだことが分かります。

 約千年も前に詠まれた歌が、こうして令和の世にも歌い継がれていることに驚かされます。厳しい現実の中にも、風流を感じる時間を持つことは大切ですね。

 ちなみに、「風流(ふうりゅう、ふりゅう)」は、「上品で優雅な趣(おもむき)があること」という意味らしいのですが、元になったのは「風雅」な「流儀」だそうです。頭文字を取ってつけたのが「風流」だということで、平安時代にできたらしいです。なんでも省略してしまう現代と、やっていることはほとんど変わらないですね。

 

 夏休みになり、やや時間ができたので、以前読んだ本を読み返しています。手軽な新書が多いのですが、その中でも気に入ってるのが、「ハーバードで一番人気の国・日本」と「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」の2冊です。

 前者では、世界最高峰のハーバード大学の経営大学院で、「日本式」の様々なオペレーションやマーケティングなどが、教材として扱われ称賛されていることを紹介しています。

 中でも有名なのが、「新幹線劇場」として、東京駅に停車する新幹線を掃除する会社「テッセイ」のプログラムと清掃のパフォーマンスの見事さです。わずか7分のあいだに、複雑な作業をチームで流れるような所作で行う卓越したスキルの高さを、ハーバードの教室で「テッセイのトラブル」というテキストで学んでいるというのです。トラブル続きだった現場をどのようにして「改善(カイゼン)」していったか、その過程が教材になっているのです。そこでは、上司と部下がともにアイデアを出し合い実施する「現場型」リーダーシップが、これからは世界標準になるだろうと言っています。

 

 後者は、経営におけるアートとサイエンスについて、大学の哲学科を卒業し、現在はコンサルタントとして活躍している著者が、意識の根底に「美意識」を持つことがどれだけ重要かを説いています。

 その中で、心に残っている部分が、「自分のアンテナの感度を磨く」という表現でした。自分なりの「真・善・美(しんぜんび) 真=直感 善=倫理観 美=美意識」の感覚に照らして、誰の生き方や考え方に共鳴するのかを考えることが大事といっています。

 その理由の一つが、「偏差値は高いけれど美意識は低い」という人の存在です。学校の成績はかなり優秀だった人たちが、様々な事件を起こして世の中を騒がせることがあると。そして、その人たちには「文学を読んでいない」という点で共通しているのだそうです。

 この本によれば、古代ギリシア以来、人間にとって何が「真・善・美」なのかということを純粋に追求してきたのは、宗教と近世までの哲学であったということです。そして、文学というのは同じ問いを物語の体裁(ていさい)をとって考察してきたと考えることができる、と記しています。

 簡単に言えば、「もっと文学(物語)を読みましょう」というところでしょうか。確かに、文学は主人公や登場人物の内面を想像するところが醍醐味(だいごみ)です。想像力が刺激されます。自分のため、あるいは誰かのために思いを巡らせ、悩み、苦しみ、もがきながらある行動を決断します。読者は、その行為がどんな良い結果につながるのか、どんな悪い結果を招くのか、居ながらにして、作中の人物になりきって共に考えることができるのです。周りの役に立って感謝されたり、自らの行為に大いに後悔し悲嘆にくれたり、様々な感情が渦巻きます。時には、登場人物の理解しがたい行動にいらだったり、想像を超える美しい行為に涙したりもします。

 この「想像力」が最も大切だと言っているのではないかと捉えました。折しも、現代の生活において欠かせない存在であるAI(エーアイ)に不可能なことが、この「想像力」であると聞きました。

 かつて、世界に想像力があれば、戦争は起こらないと言った人がいました。銃を構えて向き合う敵にも愛する家族や恋人がいると想像できれば、絶対に引き金は引けないはずだと。

 大好きなジョン・レノンの名曲「IMAGINE(イマジン)」が頭の中に流れてきました。

 文学を読むことの効能は、この想像力を鍛えることであり、美意識につながっていくのだと、勝手に解釈しました。

 

 本を読めば読むほど、勉強不足の自分を痛感します。もう少し本を読んで勉強したくなりました。長々と失礼しました。 (文責 海寳)